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目指せ「旅慣れ」!30代サラリーマンが旅についてあれこれ綴ります。

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【読書】沢木耕太郎「深夜特急」③/インドに到着!繰り広げられる悲劇と喜劇

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紀行文学の名作・沢木耕太郎「深夜特急」の第3巻をご紹介します。ついにインドに到着した<私>。しかし、旅のスタート地点であるゴアはまだまだ遠く……。

 

 

前回ご紹介した第2巻ではマレー半島を南下してシンガポールにたどり着きました。

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インドへの入国を決断した<私>は、一度バンコクへ戻り、飛行機でカルカッタに到着します。

カルカッタ/熱狂、再び

カルカッタに到着した<私>を待っていたのは、鮮烈な光景でした。

カルカッタという街はほんのワン・ブロックを歩いただけで、人が一生かかっても遭遇できないような凄まじい光景にぶち当たり、一生かかっても考えきれないような激しく複雑な想念が沸き起こってくる。なんという刺激的な街なのだろう。
~本文中より

香港以来の熱狂に出くわした私は、半月ほどの間、毎日街を歩き回るのでした。

行き交う人力車(リキシャ)、闇両替とのレート交渉、階級格差、働く子どもたち、物乞いたち……。

ここで描かれているのは、パワーに溢れ、とても信じ難いカルカッタの情景です。

 

隣室のネパール人と仲良くなった<私>は、カトマンズでの再会を約束し、汽車の旅に出ます。

まずはたまたま地図で目についたパトナを目指して、北へ。

三等車で出くわした人々の勧めで日本の寺があって無料で宿泊できるブッダガヤへ寄り道します。

ブッダガヤといえば、釈迦が悟りを開いたとされる場所です。

 

同宿の日本語教師と友人になった<私>は、「アシュラム」と呼ばれる場所へ向かうことになります。

「アシュラム」というのは本来、瞑想やヨガを教える道場を指すそうですが、<私>が訪れたのはアウト・カーストの子供たちが暮らす生活共同体です。

ボランティアの日本人大学生らとともに子どもたちと暮らす<私>。

かけがえのない共同生活を送るうちに、<私>は物から解き放れていき、インドへ適応していきます。

このアシュラムでのエピソードは非常に印象的で、ここで出会った子どもたちが、このあとどういった生活を送ったのか、気になるところであります。

アシュラムをあとにした<私>は、カトマンズへ向かいます。

 

カトマンズ/降り続く雨の中で

ネパールの首都カトマンズは、欧米ヒッピーの吹きだまりでした。

インドより物価が安く、色々な意味で穏やかで優しいカトマンズにたどり着いた彼らは長旅で疲れ果て、怠惰な生活を送り、薬物に溺れ、やがて死を迎える者もいました。

始めはカトマンズを楽しんでいた<私>も、冷たい雨が降り続くカトマンズでだんだん無気力になっていきます……

 

しかし、天気が好転したのをきっかけに、カトマンズの脱出を決意します。

 

ベナレス

カトマンズを出発した<私>は、30時間に及ぶ強行軍で一気にパトナへ到着します。

そして、そこから更にヒンドゥー教の聖地・ベナレス(今の呼び名はヴァーラーナシー、ワーラーナシー)に向かいます。

騒がしい街の中で、老人と少年二人で切り盛りしている安宿に宿泊した<私>は、ベナレスを「悲劇と喜劇が無秩序に演じられている劇場のような町」と表現します。

行き交うリキシャ、人々が沐浴するガンジス河、物売りたち、カーストの原理に支配される人々……そこには日本とは全く違う風景あります。

 

一番印象的なのは、<私>が沐浴所のすぐ近くに、死体焼き場があったり、死体を河に流していることを目撃するシーンです。

このことについて、<私>は多くは語りませんが、強烈な印象を受けたことは文の端々から窺うことができます。

<私>はその翌日も、その場所を訪れます。

そして、その日を契機に、急激に体調を崩すのでした。

 

ベナレスをあとにした<私>は、体調不良をかかえたまま、カジュラホという町へ向かいます。

が、トラブル続きでたどり着くことができず、途中のサトナで1泊を余儀なくされます。
体調はどんどん悪化の一途をたどり、朦朧とする意識の中、翌日カジュラホへ到着。

しかし、向かった宿は満室……でも、なんとかドミトリーの女性部屋に泊めてもらい、2日間眠り続けます。

一旦は体調が回復したように思えたものの、ジャンシーに向かうバスの中で再び容体が悪化した<私>は1等寝台が寝ている間に回復していることを期待して、デリー行の夜行列車に飛び乗るのでした。

 

必死の思いでたどり着いたデリーで、宿のベッドに倒れこむ<私>。

遠のく意識の中でボーイから「インドの病気は、インドの薬でなくては治らない」と言われ、薬を飲まされます。

そして、再び深い眠りに落ちていくのでした……。

 

この3巻では、普段日本で暮らしていたら絶対に見ることができないであろう数々の光景を<私>が目にする様子が描かれています。

読んでいると、バックパッカー旅行や“自分探し”といえば、「まずはインドやネパール」という扱いを受けていることが納得できます。

読んでいるだけでもこんなに衝撃的なのだから、実際に眼にしたらそれこそ人生が変わる人もいるでしょう。

 

そして、この3巻では今までいたって健康だった(それもそれですごいと思いますが)<私>が、初めて体調を崩します。
果たして、<私>はどうなってしまうのか……4巻が気になるところです。

 

↓第4巻はこちら

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